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不動産 / 土地活用
2022.10.06
相続にまつわる土地の分筆
相続財産を有する被相続人が亡くなった場合、相続人が法定相続分に基づいて相続財産を相続することになります。相続財産が現金などの場合には簡単に分けることができますが、土地は複数の相続人で相続する場合「分筆」が行われるケースがあります。
今回は、相続にまつわる土地の分筆について解説します。
そもそも「分筆」とは?
「分筆」とは、登記簿上の一つの土地を複数の土地に分けて、それぞれ登記することです。「筆」とは登記簿上の土地の数を表す単位で、土地は「1筆」「2筆」と数えます。土地を複数人に相続したい場合、土地の一部を売却したい場合などに分筆が行われます。
分筆を行う「メリット」
土地を分筆して相続した場合、筆ごとに異なる用途で土地を利用できたり、相続人に合わせて持分を分割できるというメリットがあります。
一つの土地を相続人全員で共有することも可能ですが、その土地で建築を行う際に相続人全員の同意が必要となります。また、相続人の一人が住宅ローンを契約する際に自分の持分に抵当権を設定したいと思っても、1筆の土地では土地全体に抵当権が設定されてしまうので、トラブルになる可能性があります。
そこで、分筆により土地を分けて相続すると、相続人がそれぞれの意思で土地を活用できるようになります。また、土地の分筆をすると、筆ごとに土地の評価額が計算されます。これは土地の評価額が変わるので、相続税だけでなく毎年納付する固定資産税を抑えることができる可能性があります。
分筆を行う「デメリット」
土地を法定相続分に基づいて分筆すると「1筆あたりの土地」が小さくなるため、土地の使い勝手が悪くなる場合があります。また、土地が不整形であったり接道部分が狭くなったりすると建築基準法を満たせず、建物を建てることができなくなることもあります。
分筆を個人で行うことは難しいため、トラブルを防ぐためには土地家屋調査士などの専門家に相談した方がよいと言えるでしょう。

分筆の確定と注意点
分筆に必要な「境界確定」
土地家屋調査士に分筆登記を委任した場合、土地所有者が行うことは特にありません。分筆の流れで最も重要なポイントは、隣地との境界を決めることです。それには現地調査を行い、役所や隣地所有者の立ち会いのもとで境界を確認・合意し「境界確定」を行います。
土地の境界が既に定まっている場合は1ヶ月程度で土地の分筆が完了しますが、定まっていない場合は数ヶ月から、ときには1年以上の期間を要することもあります。
土地の分筆を行う際の「注意点」
相続税の節税だけを期待した安易な土地分割は、「不合理分割」に該当して分筆が認められない可能性があります。そう判断されると、分割前の評価単位で相続税が計算されるため、結果的にポジティブな結果に繋がりません。
また、相続税の申告期限は相続開始後10ヶ月以内と決まっているため、それまでに遺産分割協議と分筆を完了しなくてはなりません。特に、相続発生後に境界確定測量をおこなおうとしても、相続申告期限を過ぎてしまことは十分に考えられます。相続のために分筆を考える際は、早めに準備しておく方がよいでしょう。
分筆「まとめ」
土地は、そのまま売却したり、賃貸やアパートを建てたりすることで資産運用したり、ローンを組むときに抵当権を設定したりと、様々な活用方法があります。
その活用法は相続人それぞれで異なるでしょうが、大きな土地が相続財産となるときには、分筆によって相続問題が解決することもあります。分筆によるメリットとデメリットを比較して考えるために不動産会社などのプロに相談して、どのような分筆をすれば土地活用がしやすいかを確認しておくのがよいでしょう。
HPH221011-003-01
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この記事を書いた人

上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】 日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
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宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
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興味・関心のあることに対して、物事の見方や考え方をお伝えします。
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