ビジネス
不動産 / 土地活用
2023.01.13
日本の土地制度
太古の時代から存在する土地や建物。その対象となる「不動産」という概念が日本に生まれたのは明治時代に入ってからとされています。かつて「土地」は自由に売買や賃貸取引ができるものではありませんでした。では、昔の土地制度とは、どのようなものだったのでしょうか。
「土地を所有する」という概念
古代の日本には「土地の所有権」を明確にするものがありませんでした。「所有」というよりも「縄張り」のように捉えられていたそうです。やがて縄文時代末期に稲作が始まると土地を管理するという支配層が生まれ、それ以降は土地をめぐって時代ごとに様々な決まりが作られてきました。
645年の「大化の改新」で初めて土地は天皇(国)のものとされ、人々は生活を保障するものとして田を貸し与えられ、「祖」とよばれる【収穫した稲の3~5%】を納める税を納めるシステムが始まりました。貸し与えられた人が亡くなると土地は国に返却され、相続や売買はできなかったそうです。
「荘園」の誕生
人口増加により土地が不足するようになると、743年に「墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)」が制定され、新しく開墾した土地の私有化が公的に認められるようになりました。すると、財力のある貴族や寺社が農民を雇って積極的に原野を耕し、私有財産として所有地の拡大を図るようになりました。
この土地は「荘園(しょうえん)」と呼ばれ、日本列島の土地は私有地の「荘園」と、国の土地である「公領」に分かれていきました。
「荘園」の所有は政府に税を納める義務があり、管理自体も経費がかかりました。さらに地方の荘園では、土地を守るための武力が必要だったり、一ヵ所の土地に幾人もの権利が重複していたりと、この時代の土地の所有権は非常に複雑で、経営は一筋縄ではいかなかったようです。
「太閤検地」
平安時代から鎌倉時代にかけて定着した「荘園」ですが、室町時代には弱体化が進み、戦国時代には消滅してしまいます。そこで1582年から1598年まで豊臣秀吉により「太閤検地(たいこうけんち)」が行われ、土地の所有権が整理されました。
土地は耕作者の所有物とされ、耕作者は検地帳に登録され、年貢を納める人が特定されることになったのです。その結果「一土地一所有者」が公的に記録され、現代の土地登記につながる原型が出来上がりました。
「土地の私的所有権」の確立と「不動産業」の誕生
江戸時代は「田畑永代売買禁止令(でんはたえいだいばいばいのきんしれい)」があり、農地の売買は禁止されていたのですが、土地を金融担保として活用するなど、町人地では活発に「土地の売買」が行われていました。ここから、土地売買や建物賃貸を行う「不動産業」というビジネススタイルが誕生しました。
明治時代に入ると、政府は土地の所在や面積、持ち主を明記した地券を交付して土地所有のデータを明確にしました。この「地租改正(ちそかいせい)」という法律により、土地の私的所有権が確立され、個人資産としての価値が認められるようになったのです。
その後、担保権や抵当権といった制度が整備され、不動産を専門に扱う不動産会社や仲介業者が多く現れ、近代的な不動産取引が発達していくことになりました。
日本の土地制度、まとめ
土地所有の概念は、時代と共に大きな変化を遂げてきました。不動産は「農地」や「住まい」以外に、現在では「投資」として活用されるようにもなっています。
土地は多くの惠を生み出すため広い面積を持つことが重要になり、稲作の始まった弥生時代以降から明確に土地所有が意識されてきましたが、近代の土地所有権に近づいたのは豊臣秀吉による「太閤検地」後といえるでしょう。
ただ、土地が大事な資産であることは、いつの時代も変らなかったようですね。
【HP H 231112-002-01】
関連記事
この記事を書いた人
上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】 日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】 日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
興味・関心のあることに対して、物事の見方や考え方をお伝えします。
≪セールスポイント≫
ライフプランを中心に将来設計の考え方をお話します。特に、住宅に関すること・老後のお金の貯め方・相続について、コンサルティングします。又、暮らしに変化があった方(結婚・出産・マイホーム購入・転職・退職 等)のお役に立てると思います。