リフォームとリノベーションの違い
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不動産 / 土地活用
2023.02.08

リフォームとリノベーションの違い

最近よく耳にする「リノベーション」という言葉は、「リフォーム」と同義であると思われがちです。どちらも「住宅の改修」を指しますが意味は異なるのです。そこで今回は、混同しやすい「リフォーム」「リノベーション」の違いと、メリット・デメリットなどについてご紹介します。


「リフォーム」「リノベーション」の違い


言葉の意味から

リフォーム[reform] = 戻す、改善、改良

老朽化した建築物を、新築の性能に近い状態へ戻すという意味です。基本的に壊れたり、汚れたり、老朽化している部分を直し、きれいにし、新しく改装することを指します。例えば「外装の塗り直し」「キッチン設備の変更」「壁紙の張り替え」などが該当します。


リノベーション[renovation] = 高める、修復、刷新

既存の建築物に改修工事を加え、価値を高めるという意味です。新たな機能や価値を加え、住まいの空間をよりデザイン性の高いものに改良したり、住環境を現代的なスタイルに合わせ、間取りや内外装などを変更することを指します。例えば、「耐久性や耐震性を高めるための壁の補修」や、家族が増えたことから「仕切りの壁をなくして」広々としたリビングやダイニングキッチンにすることなどが該当します。



工事規模の観点から

リフォーム:設備の変更や修繕など、システムキッチンやユニットバスの入れ替え、壁紙の貼り替え・外壁の塗り替え程度の「比較的小規模」な工事を指します。


リノベーション:間取り、水道管、排水管、冷暖房換気設備の変更など「大規模な工事」を指します。最近では内装や壁・屋根など全て取り払い、躯体構造のみにして改修を行う「フルスケルトン」が注目されています。


居住設備性能の観点から

リフォーム:老朽化した居住施設を、新築の時と「ほぼ同等」の性能にする工事。
        
リノベーション:設備の機能を高めたり、間取りを変更したりして、新築当時を超える「高い性能」にする工事。


リノベーションではプランニングの段階から改修に使用する素材などをオーダーできるケースも多く、断熱や採光・通風・省エネ・耐震設計などお住まいの性能を大きく向上させる改修が可能です。そのほか収納性の向上など、生活するうえで欠かせない箇所の改善も図れるので、住宅の価値もグッと高まるでしょう。

なお、リノベーションに近しい言葉として、「コンバージョン(変換、転換)」があります。少子化で廃校になった学校をオフィスや福祉施設にしたり、改装によって賃貸オフィス⇒賃貸住宅にするなど、「建物の用途そのもの」を変更することを指します。

各メリットとデメリット

メリット

リフォーム   ・工事の期間が短め
        ・完成がイメージしやすい

リノベーション ・設計の自由度が高いため、
         生活スタイルに合わせて自由に設計可能
        ・物件の選択肢が豊富
        ・物件の資産価値が高まる
        ・新築を建てるよりお得


デメリット

リフォーム   ・設計の自由度が低い
        ・デザイン性を重視しづらい

リノベーション ・工事費用が高くなりやすい
        ・ローンなどの金利が高くなりやすい
        ・工事の期間が長めで、暮らし始めるまでに時間がかかる
        ・築古の中古物件では耐久性が不安になる可能性がある



リノベーションが注目される理由


新築以外の選択肢

現在はコロナ過や欧州政情不安による流通混乱の影響から、土地や建築資材などの価格高騰があり「新築物件」の購入が難しくなっています。希望のエリアに立地するリーズナブルな中古物件を購入して、リノベーション工事を行う選択肢が増えてきました。


環境保護の視点

日本ではスクラップ&ビルド(建物を壊して建設し直すという行為)が繰り返されたことにより大量の廃材が出て、環境破壊が進んでしまいました。今ある住宅の「使える部分」は残して、改修、よみがえらせるリノベーションは、SDGsな社会づくりや環境保護に大きく貢献しています。


ライフスタイルの変化

ライフスタイルの変化に合わせて、住宅を「住みやすくする」リノベーションが注目されています。月日が流れていく間に家族それぞれのライフスタイルも変わっていき、住宅や設備も劣化していくためメンテナンスが必要となります。最近では、高齢になった家族のために、段差を減らすバリアフリー工事を含めたリノベーションを行うご家庭が増えているようです。

ワンポイントアドバイス

中古物件購入は思わぬ出費に悩まされる可能性があります。

興味のある方は、施工に慣れた会社に相談して、満足のいく工事となるようにしましょう。無駄な出費をなくすためにも、契約前に複数の会社で相見積もりを依頼して、施工内容を比較しておくことが大切です。

「リフォーム」と「リノベーション」のどちらにするかは、「部分的な改善・改良=リフォーム」、「今ある住宅の良さを残しつつ、これまでとは違う用途や機能を持たせたい=リノベーション」と判断するのもひとつの方法です。


自分たちの生活スタイルに合った住空間を明確にしたうえで、施工業者やデザイナーとよく相談し、ぜひ「自分らしい暮らし」を実現できる、理想的な住まいを手に入れていきましょう!


【HP H 230208-001-01】

この記事を書いた人
上畑忠之
上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】
日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
Comment
興味・関心のあることに対して、物事の見方や考え方をお伝えします。
≪セールスポイント≫
ライフプランを中心に将来設計の考え方をお話します。特に、住宅に関すること・老後のお金の貯め方・相続について、コンサルティングします。又、暮らしに変化があった方(結婚・出産・マイホーム購入・転職・退職 等)のお役に立てると思います。