不動産の距離「徒歩1分」とは?
ビジネス
不動産 / 土地活用
2023.02.28

不動産の距離「徒歩1分」とは?

物件選びの際に「最寄り駅まで歩く時間」を考慮する方もいらっしゃると思います。ただ、当該情報に「駅から徒歩◯分」とあるけれど、実際に歩いてみたら表示よりも時間がかかってしまった・・・なんて経験はありませんか?

「駅から徒歩◯分」はどう測っている?


ご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、物件情報における「駅から徒歩◯分」は、実際に歩いて計測した時間ではありません。これは基準となる数値をもとに、速度と距離で算出されています。

歩く速さは、老若男女それぞれ違うもの・・・つまり、「徒歩◯分」についても計測者が違えば表示もバラバラになってしまいます。したがって、不動産広告ではばらつきが起きないようルールが定められています。「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、「徒歩1分=80m」相当と計算する指定があるのです。

なお、所要時間30秒など「1分以下」の場合は切り上げ計算を行います。つまり、駅直結の物件でも「徒歩1分」と表記されているのは、このルールによるものです。

なぜ「分速80m」なのか?


分速80mは時速換算で4.8km。この速度根拠は「健康な女性がハイヒールで歩いた距離」がベンチマークになっているそうです。

規定が制定された1963年。当時の業界では、わかりやすく「徒歩1分=100m」にする案が検討されていました。しかし、規定制定担当の女性が「100mを徒歩1分というのは現実からかけ離れている。女性にも適用できる基準にすべき」と反対。

自分が所持する靴のなかでもっとも歩きにくい「ハイヒール」で計測したところ「毎分80.3m」であることが判明し、「徒歩1分=80m」の根拠となりました。

現在主流になりつつあるGoogle map等のデジタルマップも、距離が80m以下は「徒歩1分」、81m〜160mは「駅徒歩2分」と、同等基準で表示されています。

徒歩時間の算出方法


計算のもとになる距離は、地図で確認できる直線距離ではなく、実際に歩く道のりの「道路距離」で計算されます。

徒歩分数 = 駅から物件までの道路距離(m) ÷ 80(m/分)

例1)駅から物件までの距離が400m
  → 400m ÷ 80m/分 = 5
  ⇒徒歩分数「5分」

例2)駅から物件までの距離が500m
  → 500m ÷ 80m/分 = 6.25
  ※1分未満の小数点以下は切り上げ
  ⇒徒歩分数は「7分」



実際の所要時間にはズレが生じる理由


現場を実際に歩いてみると、表記より長く歩くケースは少なくありません。なぜなら、徒歩のスピード以外にもズレが生じる要因があるからです。

①信号や踏切待ちの時間は含まれない

本件は「信号」「電車の踏切」については考慮しなくて良いとされています。しかし、現場では信号待ちが全くなく、クリアに歩けるケースは少ないかも知れません。


②坂や階段は算出方法に考慮されない

「急な階段」や「上り坂」では、歩く速度が遅くなってしまうもの。しかし、所要時間の算出で特に考慮されていません。


③改札・ホームまでの所要時間ではない

「駅から」の距離におけるスタートは「地上出口」を指しています。さらに、出口のなかでも「物件から一番近い地上出口」が起算点になっています。大規模な駅では改札やホームから出入口に至るまで数分かかるケースがありますが、考慮されていません。

また、マンション・集合住宅等も「建物の出入口」が起点となります。つまり、エレベーターの乗り降り時間などマンション内での移動時間は含まれないのです。



広告等に記載された「所要時間」はあくまで参考程度。気になる物件が見つかったら、一度自分の足で歩いて正確な時間を計ることをお勧めします!




【HP H 230301-004-01】

この記事を書いた人
上畑忠之
上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】
日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
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