2024年4月、不動産の相続登記が義務化されます
ビジネス
不動産 / 土地活用
2023.08.03

2024年4月、不動産の相続登記が義務化されます

親の他界等で、土地や建物等の不動産を相続をしたら、所有名義は相続人に変更します。


現在、この相続登記は任意で行うことが基本となっていますが、2024年4月以降は法改正により義務化される予定です。法律の施行後は、期限内に手続きを完了しなかった場合に罰則が科せられます。今回は、この「相続登記義務化」における改正ポイントについて解説します。

出典:法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html


「相続登記義務化」の理由


相続登記が義務化された背景は、簡単にいうと「所有者不明の土地が増加したから」になります。現在、とてつもない数の不動産が所有者不明の状態であり、これ以上増えてしまうと公共事業や都市開発が進まないという問題が発生し、見過ごせない状況になってきています。

国土交通省の2016年度地籍調査によると、不動産登記簿上で所有者の所在が不明な土地は20.1%(宅地17.4%、農地16.9%、林地25.6%)にも及ぶと報告されました。この事態を解消するために、2024年4月1日より不動産の所有者を明確にする「相続登記の義務化」が施行されます。

相続登記しないことによる「リスク」


不動産を相続したら通常は相続登記を行います。しかし、手続きが煩雑なことや、売買等を考えていない、そもそも相続登記をするメリットを感じない・・・等の理由から、この手続きが放置される事例が多くありました。

しかし、相続登記を放置してしまうと、相続人の誰かが亡くなったり、代襲相続(世代を飛び越えて相続財産を受け継ぐこと)が発生する際には、権利関係が複雑になり「誰の土地なのか把握できない」状況に陥ってしまいます。



所有者不明の土地を相続・所有しても、売却やローンの担保にすることができません。また、借金を滞納している相続者がいた場合には、不動産が差し押さえられてしまう可能性もあります。相続登記が正しく行われていない土地は金融機関の信頼を得ることも困難で、「不動産取引や土地活用が難しい」というデメリットがあります。

これらを回避するためにも不動産を相続で取得したら、相続登記はできるだけ速やかに済ませるようにしましょう。


相続義務化の「ポイント」


2024年4月1日以降は、不動産を取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請しなくてはなりません。相続した不動産を正当な理由なしに3年以内に登記しなかった場合、「10万円以下の過料」が科される可能性があります。法改正以前に相続した不動産についても、この相続登記義務化の対象になるので注意が必要です。

また、何らかの理由により相続人の間で遺産分割協議が進まず、3年以内に相続登記ができないケースも想定されることから、『相続人申告登記』制度も創設されます。

相続人申告登記とは、「相続が発生した旨」と「相続人が判明していること」の申し出を暫定的に行い、遺産分割協議を終えてから3年以内に相続登記の申請を行うことで、相続登記期限超過の罰則を免れることができます。

「相続土地国庫帰属制度」による不要な土地の返還


土地を相続したものの、活用することも困難で、登記せずに放置している方は「相続土地国庫帰属制度」を利用して、所有権を放棄して土地を国に引き取ってもらうことも可能です。

ただし、どんな土地でも無条件で所有権を放棄できるわけではなく、建物が建っていたり、担保権が設定されている土地は申請することができません。また、10年分の管理費を支払う必要もあるため、事前によく調べてから申請されてください。

参考)「相続した土地を手放したいときに!「相続土地国庫帰属制度」とは?」
https://holostyle.jp/admin/2023/06/02/jip2306/


まとめ


相続や遺産分割は誰にでも起こりうる問題です。相続登記を済ませておけば、スムーズな売却や有効活用が検討できたり、融資を受けられるなどの対応ができます。報告義務化に伴い不動産の相続を放置した場合には罰則適用の可能性もあるため、適切な対応が必要となります。

義務化されたから相続登記を行うのではなく、自身はもちろん、次世代に面倒なことを引き継がないためにも、対策の検討含めて、早め早めの対処をお勧めします。


【HP H 230803-001-01】

この記事を書いた人
上畑忠之
上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】
日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
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