越境してきた「木枝」「根株」の対処
不動産 / 土地活用
2024.11.08

越境してきた「木枝」「根株」の対処


「ご近所トラブル」は、マンションや戸建て住宅に関わらず起こるもので、日常生活を送る上で隣人との関係に悩む方も多いのではないでしょうか。

例えば、隣人の庭に大きな木があり、その「枝」が自分の敷地まで伸びてきたら?春からどんどん枝が伸びて鬱蒼となり、秋になると自宅の庭に葉がたくさん落ちてきて・・・なんて状態です。このようなとき、皆さんはどうされますか?勝手に隣人の木の枝を剪定すると(切ってしまうと)、トラブルに発展する可能性があります。

実は【民法233条2項】で、「隣の木の根が境界を越えてきた場合は、勝手に切っても良い」と定められていて、敷地を越えてきた「根っこ(根株)」は、所有者に許可を取らずに処理をすることが認められていたのです。

一方で、自分の庭に伸びてきた枝に関しては、法的な定めがなく、現実的に根株の処理よりも「枝」に関するトラブルが多かったことから、法律が現実的な路線にアップデートし、2024年4月1日の民法改正により、条件を満たせば「枝」を自分で剪定(せんてい)を行うことが可能になりました。

【改正前】民法233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
1 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、
  その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、
  その根を切り取ることができる。

【改正後】民法233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
1 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、
  その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、
  その枝を切り取ることができる。
3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、
  その枝を切り取ることができる。
 一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、
   竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
 二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
 三 急迫の事情があるとき。
4 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。


法律的には問題ないとはいえ、トラブルを防止するためにも剪定を一方的に行うのではなく、まずは隣人(所有者)に依頼したほうがいいでしょう。その際は口頭でも構いませんが、明確に伝えた記録を残すため「内容証明」を利用する方法もあります。そして直ぐに剪定するのではなく、様々な行政事例では催告してからの猶予期間として「2週間程度」を設け、改善が見られないときにようやく自ら切除することが可能になります。

また、竹木の所有者がわからないときには、土地の所有者が越境部分の剪定をおこなうことができますが、実行する前に近隣の方へ所有者の聞き取りをおこなったり、土地の登記簿謄本など入手可能な資料を確認したほうが良いでしょう。

なお「急迫の事情がある場合」は連絡せずに枝を切ることが認められています。ただし、落ち葉程度では急迫とはみなされず、例えば「台風で枝が落ちて建物に損傷を与える危険がある場合」などに限定されているので注意が必要です。



最後に、法律は改正されましたが、トラブルや争いを生じさせないかは別問題ですので、基本的には話し合いにより、枝の切除を行うことをおすすめします。やはり、隣人との良好な関係を保つことが最善策ではないでしょうか。

参考)民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について
https://www.moj.go.jp/content/001396638.pdf


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【HP H 241101-002-01】

この記事を書いた人
上畑忠之
上畑忠之
株式会社JPD
代表取締役社長
株式会社ホロスプランニング
取締役
Profile
ゼネコン(不動産・建設)営業職10年後、1999年ソニー生命保険株式会社入社。2015年に株式会社ホロスプランニング入社、現在に至る。
【資格】
日本FP協会認定 ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
生命保険協会認定 トータルライフコンサルタント
サイコム・ブレインズ認定 HPCトレーナー
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